デコレーション

パレットナイフ

kouglof

パティシェがパレットナイフを使ってデコレーションケーキを仕上げる様子はいつみてもうっとりしますし、こんなふうにできれば、と憧れるシーンです。

パレットナイフは、お菓子道具の中でもシンボル的な道具の一つです。

手にしっくりとなじむお気に入りのパレットナイフが見つかれば、お菓子作りの腕が驚くほど上がります。そんなパレットナイフをご紹介します。

パレットナイフを使うのはこんなとき

クリームを塗る以外にもパレットナイフの役立つ場面があります。

クリームを塗る

使うシーンが最も多いのはクリームを塗る作業ですね。

いちごのショートケーキやロールケーキなど、クリームを塗る作業にはパレットナイフを使うのが一番です。

スプーンやバターナイフなどで代用することもできなくはありません。

しかし、専用のパレットナイフを使うと、手の動きがスムーズですし、見た目のきれいさに差が出ます。

生地を広げる

ロールケーキのように、天板いっぱいに生地を流して焼くときにもパレットナイフの出番です。

生地を天板に流したら、パレットナイフで均一に四隅に向かって生地を流し入れていきます。

この時使うのはL字パレットがおすすめです。

ケーキを移動させる

出来上がったケーキを回転台からお皿の上へ。

緊張の一瞬です!

ここでも役立つのがパレットナイフ。

ケーキの下に差し入れて、軽く浮かせたらそのままお皿の上に平行移動させます。手を添えてケーキを着地させたら、手を差し抜き、パレットを引きます。

パレットナイフを選ぶポイント

長さ

塗る範囲の広さによって使いやすいものが変わってきます。

広ければ長いもの、狭ければ短いものが塗りやすく広げやすいです。

刃渡り20センチくらいのものと15センチくらいのものが1本ずつあると便利です。

何本も揃えるのは大変でしたら、刃渡り20センチ程度のものがおすすめです。

一般的なまっすぐなパレットナイフの他に、刃の部分がL字に曲がったベントパレットと呼ばれるパレットナイフがあります。

普通にデコレーションする場合はまっすぐなパレットナイフでOKです。

L字型のパレットナイフもあると便利です。

ロールケーキの表面にケーキを塗る時など、クリームを均一な厚さに塗れますし、生地を伸ばす際にもL字型のパレットの方が広げやすくておすすめです。

刃の薄さ

使いやすいな、と感じるパレットナイフの共通点のひとつは刃が薄いことです。

フランスマトファー社のパレットナイフを使ってそれを実感しました。

日本製のものは厚いものが多く、刃の厚みでクリームを削りすぎてしまうような気がします。

しなりのよさ

しなりのよさもパレットナイフを選ぶときの大事なポイントです。

これも日本製は固いのに対し、マトファー社のパレットはよくしなります。

しなると何がいいかというと、手の延長のような感覚でパレットを動かすことができるのです。

逆にしならないと、パレットの刃を意識するせいか、手がパレットに持っていかれるような感覚で塗ることになります。

持ち手の握りやすさ

パレットナイフを自由自在に動かすためには握りやすさが大事です。

ポイントになるのは刃と柄を繋いでいる部分。ここがきゅっとしまっているものがベストです。

画像の部分になります。

右が日本製のパレット、左がマトファーのパレットです。

接続部分のくびれ方が全然違いますよね。

柄の下から上にかけてすぼまっているものが握りやすいです。

動かしやすさ

握りやすさの違いで手の動かしやすさも変わります。

マトファーの方が手首の返しがしやすく、小回りが効くのです。

これがクリームの塗りやすさにもつながってきます。

私の使っているパレットナイフ

使っているのはほぼすべてマトファーのパレットナイフです。

刃の薄さ、しなりやすさ、握りやすさ、動かしやすさの点でとても優れています。

マトファー パレットナイフ 21cm

マトファー パレットナイフ 21cm

いちばん使う頻度の高いパレットナイフです。

ショートケーキやロールケーキのクリームを塗ったり、ムースの表面をならしたり、と何にでも使えます。

MATFER(マトファ) シェフイノックス パレットナイフ112612 刃長140㎜

MATFER(マトファ) シェフイノックス パレットナイフ刃長140㎜

こちらもマトファーです。

イノックスとはステンレスのことです。

上のパレットナイフは持ち手が木製でしたが、こちらは樹脂です。

どんな時にもこれさえあれば、と思うくらい愛用しています。

クリームを塗るときはもちろん、ものを移動させたり、表面をならしたり、型から取り出すための隙間をつくったり、と出番の多い道具です。

マトファー ベントパレット 19cm

マトファー ベントパレット 19cm

これを買ったのはお菓子作りを始めてから間もないころでした。

本でプロのシェフが使っているのを見て、なんて便利そうな道具!

と、興味津々。

当時はネットなんてありませんでしたので、合羽橋道具街に探しに行きました。

その頃、マトファーの製品が揃っていたのは川崎商店というお店でした。

麺棒もそこで買いました。

そして川崎商店の姉妹店でDr.グッズというお店があり、そちらは店内マトファーだらけという、お菓子作りが好きな者にとっては夢のようなお店だったのです。

店内を探してみると、ありました!

値段は当時にしてもかなり高くて相当迷いましたが、思い切って購入。

お菓子作りを頑張ろう、と決心できた、思い出の品です。

クリームを塗るよりも、生地を伸ばしたり、ケーキを移動させたりする時によく使っています。

特に天板いっぱいに生地を広げる作業にはうってつけで、カードで広げるよりもずっとやりやすいです。

そしてショートケーキやオペラのように長さのあるケーキを移動させる時にも欠かせません。

L字に折れ曲がっているからこそ、のよさを実感できます。

スパチュラ パレットナイフ ミニ L型 ステンレス 21cm 日本製

スパチュラ パレットナイフ ミニ L型 ステンレス 21cm 日本製

こちらも私にとってなくてはならない道具です。

1本では足りず、3本持っています。

マトファーのベントパレットよりもさらに使用頻度が高く、使う用途も広いです。

お菓子作りでは「塗る」作業がたくさん出てきますが、立って作業をするので目線のかなり下にあるものを塗りますよね。

そのため、L字になったパレットだと塗りやすいのです。

ミニサイズなので小回りも効いて、小さなケーキにクリームを塗ったり、生地全体にジャムを塗り広げたりする作業にもぴったりです。

使い勝手のよさで仕上りに大きく差の出るパレットナイフのような道具こそ、質のよいものをそろえていただくことをおすすめしたいです。

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吉川文子
吉川文子
菓子研究家
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